60代になると、ふとした瞬間に「このままでいいのか…」が口ぐせになること、ありませんか。
仕事も家庭も、そこそこ回っている。
でも心の中だけ、なんかザワつく。
これ、わりと“あるある”です。
実は僕もそうでした。
仕事は営業でずっと走ってきたし、趣味ではトライアスロンにも出て、佐渡にも何度か挑戦してきました(完走できた年もあれば、悔しい年もあります)。
するとね、60代って気合いで押し切る日と、体が「今日は違う」って言う日が混ざってくるんですよ。
自転車でも、ギアが合ってないのに踏み続けると脚だけ削れて前に進まないじゃないですか。
60代のモヤモヤって、あれに似てます。
つまり、必要なのは根性より先に、**判断軸(どこを目指すか)**の調整。
この記事は、見える化して今を知り、これから先を楽しく過ごすための10分でできる自己分析(ポジショニングマップ)で「次の一歩」を作る話です。
※次の記事予定
- 強みがわからない60代へ|“昔の武器”を今の武器に作り直す方法(記事2)
- ポジショニングマップの作り方|“立ち位置迷子”を地図で救う(別シリーズ)
Contents
なぜ60代は「このままでいいのか」が増えるのか?
60代に入ると、同じ毎日を送っているのに「なんだか腑に落ちない」が増えます。
なぜなら、肩書きや任され方が変わり、これまでの頑張りが評価に直結しにくくなるからです。
さらに、体の回復や集中の波が出て、若い頃の全力運転だと疲れが残ります。
また、SNSで他人の充実が目に入り、気づけば自分の基準がぼやけがち。
家庭や健康の優先度も上がるので、仕事も趣味も同じ配分では回りません。
だからまずは「何を守り、何を伸ばすか」を整理し、今の自分に合う判断軸を作り直しましょう。
ここでは原因を3つの視点でほどき、重たい結論ではなく次の一歩を軽くします。
読み終える頃には、モヤモヤの正体が言葉になります。
きっと、そうですよ。
役割が変わると“評価軸”が消える
頑張り方が悪いんじゃなくて、測る物差しが変わっただけなんですよね。
たとえば昔は「数字を伸ばした」「新規を取った」「段取りが速い」みたいに、成果が見えやすいところで評価されやすかった。
ところが60代になると、求められるのが派手なホームランより、チームが回るための守備になってきます。
- 若手が動きやすいように、先に根回ししておく
- 取引先の地雷を踏まないように、空気を整えておく
- トラブルの芽を早めに摘んで、静かに収める
こういう仕事って、うまくいけばいくほど「何も起きてない」ように見えるんです。
だから、本人は同じように動いているのに、手応えだけが薄く感じる。
つまり、評価が下がったというより、“見える成果”から“見えにくい貢献”に軸足が移っただけなんですよね。
体力・回復・時間が変わり、同じ踏み方が通用しない
次に出てくるのが、体の変化です。
昔は多少ムリしても「一晩寝れば復活」で押し切れた。
でも60代になると、疲れが抜けるまでに2日かかったり、違和感が痛みに育ったりします。
僕の場合は、とくに膝。調子がいい日は走れても、翌日にズキッと来ることがありました。
そこで昔みたいに「根性で走り切る」をやめて、やり方を変えました。
たとえば私の趣味のトライアスロンでは——
- ランは“距離目標”じゃなく“時間目標”(20分だけ、みたいに)
- 痛みが出た日は走らず、バイクやスイムに切り替える
- きつい日はゼロにしないで、散歩やストレッチで“つなぐ”
- 週の中に必ず回復日を入れて、疲れを前借りしない
定年後70歳から水泳などを始めた稲田さんは92歳の現役トライアスリート。
先週はケアンズのハーフトライアスロンを完走。
アイアンマンの最年長完走記録を持つレジェンド。凄い。 https://t.co/H9Zd1HBh0J— miecco (@soba_miecco) June 21, 2025
こうやって「できる日にまとめて頑張る」から、「続く形で積み上げる」にシフトしたんです。
すると不思議と、気持ちもラクになって、結果的にサボらず続く。
60代の正解は、全力を出すことより、ペースを崩さず回すことなんですよね。
比べる相手が“身近”から“スマホの中”へ
SNSを開くと、同世代の旅行や健康自慢、若い人の勢いある挑戦が一気に流れてきます。
刺激は確かにプラスです。
ただ、画面の中の「切り取られた一瞬」と自分の日常を比べると、気づかないうちに心が削られます。
しかも厄介なのは、比べたあとに戻る“自分の基準”が曖昧だと、「自分は足りないのかも」と疲れだけが残ること。
だからこそ大事なのは、他人の投稿に振り回されないように、判断軸を持つことです。
何を守り、何を伸ばすかが決まれば、SNSは参考資料に戻ります。
自己分析は“答え探し”じゃなく“地図作り”
自己分析というと「正解の職業」や「運命の答え」を当てに行く作業に見えますが、60代にはそれが逆に重荷になります。
ここで大切なのは、未来を一発で決めることではなく、いまの自分がどこに立っているかを整理して、迷ったときに戻れる“基準点”を作ること。
道が見えないと不安になりますが、地図があれば遠回りしても修正できます。
まずは生活の中で負荷がかかっている所、心が軽くなる所、力が湧く場面を拾い、点を線にしていく。
すると「何を優先するか」「何を減らすか」が自然に決まり、次の一歩がラクに出ます。
地図は完成品じゃなく、更新しながら使う道具です。
現在地は「仕事・健康・人間関係」の3点セットで見る
自己分析を始めるときは、いきなり深い答えを探さなくて大丈夫。
まずは“今の自分”をざっくり点検します。
見る場所は3つだけ。スマホのメモに箇条書きでOKです。
仕事は「満足度を10点満点で何点か」と、その理由を一言。
健康は「気になる不安」と「続けたい習慣」をセットで。
人間関係は「一緒にいるとラクな人」と「気を使いすぎる相手」を分けて書きます。
僕もこれをやったとき、「仕事のやり方」を変えるより先に、「予定の詰め方」がボトルネックだと気づきました。
出張や移動が続くと、運動は後回し、睡眠も削れて、食事も雑になる。
すると体が重くなって集中力が落ち、仕事の質まで下がる。
原因は気合い不足じゃなく、スケジュールの設計ミスだったんです。
まず直すべきは「予定の詰め方」“段取り”でした。
判断軸の材料は「イラッ」「嬉しい」「ぐったり」
判断軸って、立派な理念やカッコいい言葉から作らなくて大丈夫です。
むしろ「日常で何に反応したか」を拾うほうが、よほどリアルで使えます。
たとえばイラッとした出来事は、「自分が何を大事にしているか(価値観)」のヒントです。
逆に嬉しかった瞬間は、「何が満たされると元気が出るか(願い)」を教えてくれます。
そして、ぐったりした日は「その場ややり方が自分に合っていない(ズレ)」のサイン。
ここを見逃すと、同じ疲れ方を何度も繰り返します。
だから、出来事を大げさに分析する必要はなく、「何が起きた→どう感じた→何を守りたい?」とメモするだけでOK。
これは体と心から届く“通知”みたいなものなので、既読スルーせずに受け取ってあげると、判断が驚くほどラクになります。
60代の強みは「経験を編集できる」こと
若い頃の武器が“速さ”や“勢い”だとしたら、60代の武器は間違いなく“編集力”です。
つまり、情報や状況がゴチャついているときに、何が大事で何が後回しなのかを見抜き、必要なものだけを残せる力。
さらに、余計な摩擦が起きそうなポイントを先に避けたり、言い方を整えて場を丸く収めたりもできます。
そして最後に、短期の気合いではなく、無理なく続く形に落とし込むのが上手い。
僕自身、営業でも昔は「全部盛りで提案して押し切る」が正解だと思っていました。
でも最近は、相手の状況やタイミングに合わせて“あえて削る”ほうが話が前に進む場面が増えたんです。
相手が今欲しいのは何か、負担になるのは何かを読み、必要最低限から始める。
これも立派な編集力。
派手さはないけど、信頼と成果に直結する強みです。
今日から10分:最初の一歩ワーク
10分だけやります。結論は今日出さなくてOK。
まず材料集め、一緒にやってみましょう。
① 最近イラッとしたことを3つ書く
たとえば、こんな「イラッ」をメモしてみます。
会議がやたら長いのに結論が出ない。雑なお願いが急に飛んできて、こちらの段取りが崩れる。
体の不安を話しても「気のせいじゃない?」みたいに軽く扱われる——。
こういう出来事って、ただの愚痴に見えますが、実は宝の山です。
なぜなら、イラッの裏側には「自分が大事にしたいこと」が隠れているから。
効率を大事にしたいのか、尊重されたいのか、健康を守りたいのか、が見えてきます。
ちなみに私自身は「急ぎ案件が連発して睡眠が削られる」ときが一番キツい。
ここで気合いで踏ん張ると、翌日の集中力が落ちて全部が雑になるんですよね。
だから私は、“頑張る”より“整える”を優先したほうが結果が出るタイプだと分かりました。
こういう気づきが、判断軸の芯になります。
② 最近うれしかったことを3つ書く
たとえば「嬉しかったこと」は、こんな感じでOKです。
- 感謝された。
- 誰かの役に立った。
- 予定どおり運動できた。
一見ふつうの出来事ですが、ここには「自分が満たされる条件」がはっきり出ます。
貢献している実感が欲しいのか、認められたいのか、やり切った感覚が必要なのか。
嬉しさの種類を分けて見るだけで、次に何を優先すべきかが見えてきます。
私の場合、練習で「今日は短くてもやれた」と思えた日が地味に嬉しいんです。
昔は“やるならガッツリ”が正義でした。
でも今は、長時間よりも「崩さずに積み上がる」ほうが価値が高い。
10分でも続けば、体も気持ちも整って、翌日の仕事にも効いてくる。
60代の勝ち方って、派手に頑張ることより、淡々と続けて伸びる形を作ること。
僕はそう感じています。
③ 共通点を1行にする(判断軸の種)
書き方テンプレ:
「私は( )を大事にしたい。だから( )を選ぶ。」
例:
「私は健康と納得感を大事にしたい。だから無理な予定を減らし、続く運動を優先する。」
この1行があるだけで、迷いが減ります。
ほんとに。
50代60代で一番危険なのは、何もしないことではありません。
情報収集や自己分析を続けることです。
考える材料が増えるほど判断は遅れ、自分を納得させる理由だけが増えていく。
一人で正解を出そうとする限り、このループは抜けられません。…— Matt吉岡|50代60代特化|「右腕キャリア」構築コーチ (@never_giveup_me) December 16, 2025
④ 1週間だけ“実験”する(結論は出さなくていい)
自己分析は、考えて終わると重くなります。
だから「結論」より先に、1週間だけ試します。
- 仕事:断る/任せる/時間を区切る
- 趣味:週2回の最低ライン(10分でもOK)
- 生活:睡眠の固定、食べすぎの見直し
地図を作ったら、軽く走ってみる。ここまでがセットです。
つまずきポイント(あるある)と対処
●書けない:立派に書こうとしてる
対処:一言でOK。「ムカついた」「嬉しかった」だけでも合格。
●ネガティブになる:ダメ出し会になってる
対処:③の1行は“願い”で書く。
「こうなりたい」で締める。
●続かない:目標が重い
対処:「週2回」「10分」みたいに最低ラインを下げる。
私も昔は「やるならガッツリ」派でしたが、今は「続くなら勝ち」派です。
脚も心も、長持ちするほうが強い。
まとめ:60代のモヤモヤは“立ち位置を整える合図”
ポイントをまとめてみました。
- 「このままでいいのか」は、サボりではなく判断軸の再調整サイン
- 自己分析は答え探しじゃなく、現在地の地図作り
- 10分ワークで「強み・価値観・優先順位」の種ができる
- 1週間の“実験”で、次の一歩が現実になる
「このままでいいのか」と感じるのは、サボりでも弱さでもありません。
むしろ、今まで真面目に積み上げてきた人ほど出てくる“再調整のサイン”です。
定年や再雇用で役割が変わり、体力や回復のペースも変わる。
さらにSNSで他人の充実が目に入ると、気づかないうちに自分の基準がぼやけます。
そんな時に必要なのは、気合いで踏ん張ることより、判断軸を作り直すことです。
そのための自己分析は、運命の答えを当てに行く作業ではなく、今の自分の“現在地”を地図にする作業。
仕事・健康・人間関係をざっくり整理し、イラッ・嬉しい・ぐったりを拾えば、価値観や強み、優先順位のタネが見えてきます。
そして大事なのは、考えて終わらせないこと。
10分ワークで出た1行の判断軸をもとに、1週間だけ小さく実験してみる。
予定の詰め方を変える、運動を週2回の最低ラインにする、断るルールを決める——それだけで現実が動き出します。
地図は一度で完成しなくてOK。
更新しながら、自分に合う立ち位置へ整えていきましょう。
次の記事予定
- 強みがわからない60代へ|“昔の武器”を今の武器に作り直す方法(記事2)
- ポジショニングマップの作り方|“立ち位置迷子”を地図で救う(別シリーズ)
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