晩酌の流儀4秋冬編第10話レビュー|最終回の結末と雪谷商店街再開発、玉ねぎ生姜ちゃんこ鍋!

晩酌の流儀4秋冬編第10話レビュー|最終回の結末と雪谷商店街再開発、玉ねぎ生姜ちゃんこ鍋!

 

『晩酌の流儀4』秋冬編の最終回となる第10話「玉ねぎ生姜ちゃんこ鍋」。

雪谷一番商店街を取り壊し、インバウンド向け施設「雪谷江戸タウン」を作る計画が浮上し、美幸(栗山千明さん)はトップハウジングスが絡んでいると知って交渉へ向かいます。

しかし王子(忍成修吾さん)は耳を貸さず、署名活動にも動じない様子。

だからこそ、商店街を守るために美幸が思いつく“ある作戦”が、秋冬編の締めにふさわしい熱を生む回でした。

私はこのシリーズの魅力って、正論の勝ち負けよりも「一杯のために暮らしを整える執念」だと思っているので、最終回でその芯がもう一度しっかり見えたのがうれしかったです。

晩酌の流儀4秋冬編第10話レビュー|最終回の結末と雪谷商店街再開発

今回の最終回は、雪谷一番商店街の取り壊し計画という“大きな波”が、美幸の日常に真正面から来る構図でした。

インバウンド向けの「雪谷江戸タウン」計画は、時代の流れとしては分かる。

でも、商店街って単なる買い物の場じゃなくて、人の顔や声や小さな助け合いが積み重なった“生活の温度”なんですよね。

だから美幸が署名活動を選び、それでも動かない現実に直面する流れが、最終回の現実味を一段上げていました。

ここで大上段に正義を掲げず、あくまで“暮らしを守るための実務”で勝負するのが晩酌の流儀らしくて、私はすごく納得しました。

 

再開発が悪ではない、でも商店街は譲れない

再開発の話って、ドラマだと「悪の企業 vs 住民」になりがちです。

けれど第10話は、そこを単純化しない温度がありました。

インバウンド向け施設の計画は“合理”としては強いし、反対する側も感情論だけでは勝てない。

だからこそ、美幸が交渉に向かっても王子流星に退けられる序盤は、見ていてちょっと悔しい。

でもこの悔しさがあるから、後半の“ある作戦”に手応えが出るんですよね。

私はこの回を見て、商店街ってノスタルジーではなく、今も動く生活装置なんだと改めて感じました。

 

署名活動のリアルが胸に刺さる

海野らと始める署名活動は、ドラマ的に派手ではありませんけれど、それが逆にリアルでした。

回覧板の熱量、顔見知りに頭を下げる気まずさ、そして集めた署名が“すぐには力にならない”現実。

ここを丁寧に置くから、最終回がふわっと理想論で終わらない。

晩酌の流儀は、いつも「一杯のためにやるべき手順」を大事にする作品なので、社会的テーマでも手順の物語として見せてくれたのが上手いなと思いました。

生活の守り方って、派手な革命じゃなく地味な積み木なんだよなあ、と。

 

“ある作戦”のワクワク感が最終回のご褒美

公式あらすじでも鍵になっていたのが、美幸が思いつく“ある作戦”。

詳細を語りすぎるより、この言い方がむしろ晩酌の流儀らしい余白です。

美幸はいつも、状況整理→材料集め→最短で旨い一杯へ、という段取りの名人。

今回も同じで、商店街を守るために必要な材料を静かに集め、最後に一撃で状況の温度を変える。

ここに“最終回のご褒美感”がありました。

私は、このシリーズが続いてきた理由は、派手さよりも「段取りの快感」を描けることだと思うので、その気持ちよさで締めてくれたのが嬉しかったです。

栗山千明の演技は“静かな闘志”の完成形

秋冬編を通して感じたのは、栗山千明の演技が“強く見せる”より“折れない温度を保つ”方向に磨かれていること。

最終回ではその良さが一番はっきり出ました。

交渉で突っぱねられても、署名が進まなくても、表情が崩れない。

でも、目の奥の火が消えない。

ここが美幸という人物の説得力であり、シリーズの背骨だと思います。

私は大げさな名ゼリフより、黙って手を動かすシーンに一番グッときました。

最終回ってどうしても感情の花火を上げたくなるけど、晩酌の流儀は“静かな完走”が似合う。

栗山千明はそのゴールテープを、見事に手繰り寄せていました。

 

交渉シーンの“引かない姿勢”が美幸の核

王子流星に跳ね返される交渉シーンは、最終回の壁として申し分ない硬さでした。

ここで美幸が声を荒げないのがポイント。

怒りの正当性を見せるより、相手の理屈を受け止めた上で“次の手”に移る冷静さが勝負なんですよね。

だから観ている側も、「この人は言い負かすために動いてない」と自然に理解できる。

私はこの場面で、美幸の仕事人としての矜持と、商店街への愛着が同時に立ち上がってくる感じがして、静かに胸が熱くなりました。

 

 葵や同僚たちとの距離感が“季節のチーム感”

最終回はどうしても美幸ワンマンになりがちですが、秋冬編の良さは“周囲がちゃんと並走する”ところ

葵をはじめ、ホップハウジングの空気が温かいのが救いです。

誰かが大声で鼓舞するわけじゃないけれど、必要な場面で自然に背中を押す。

この無理のない連携が、晩酌の流儀の世界観に合っていると思います。

私はこの距離感が好きで、だから毎話気持ちよく見られるんだろうなと納得しました。

職場ドラマとしても、じわっと良いチームの形を見せてくれる回でした。

 

最終回の“所作”が一番の名演

晩酌の流儀の演技の見どころって、実はセリフより所作だと思っています。

買い物の段取り、食材を見る目、そして一口目までの“溜め”。

最終回の栗山千明は、ここをとにかく丁寧に締めてきました。

商店街という舞台と、ちゃんこ鍋という料理は、どちらも“人の気配”が主役です。

だから美幸の所作も、いつも以上に柔らかく、でも芯がある。

私は一口目の瞬間に「ああ、秋冬編が終わるんだな」と素直に寂しくなりました。

それくらい“飲む演技”の完成度が高い最終回だったと思います。

玉ねぎ生姜ちゃんこ鍋は“体温で答えを出す最終回メシ”

最終回の晩酌メニューが「玉ねぎ生姜ちゃんこ鍋」という時点で、もう勝ち確の空気がありました。

ちゃんこ鍋って、具材の組み合わせ以上に“支える料理”。

そして玉ねぎと生姜は、甘みと熱で心身をほぐしてくれる最強コンビです。

商店街を守る話と、鍋の物語が同じ温度で並走するのが今回の美しさ。

派手な贅沢じゃなく、手の届く食材で最高の一杯に到達する。

これこそ晩酌の流儀の哲学ですよね。

私は見終わったあと、体がちょっと温かくなるような錯覚がありました。

季節と物語と食卓がちゃんと一致する、理想的な“締めの一杯”でした。

 

玉ねぎの甘みが“生活の優しさ”を象徴

玉ねぎの良さって、煮れば煮るほど甘くなるところ。

最終回で玉ねぎが主役級に扱われるのは、商店街のテーマとも相性がいいんですよね。

商店街だって、時間の蓄積で味が出る場所です。

便利さだけで測れない、顔の見える関係や小さな雑談が、暮らしをじわっと甘くする。

だからこの鍋は、単なる“温まる料理”じゃなく、“日常の価値”を舌に翻訳する装置に感じました。

私は玉ねぎを多めに入れて真似したくなるタイプなので、今回のメニューは個人的に刺さりまくりです。

甘さと熱が、最終回の余韻にぴったりでした。

 

生姜のキレが“美幸の決断力”を映す

一方で生姜は、甘いだけで終わらせないキレ担当。

ここが美幸のキャラクターにも重なります。

優しく見えて、決めるところは決める。

動くときは最短距離で動く。

最終回の“ある作戦”の影にも、この生姜的な決断力がある気がしました。

料理って、作る人の性格が少しだけ出るものなので、玉ねぎと生姜の組み合わせ自体が、秋冬編の美幸の成長を象徴しているようで面白い。

私はこのシリーズが、料理を“自己表現”として使うのが上手いところが好きなので、最終回でそこをきれいに回収してくれたのが嬉しかったです。

 

 おうち再現のコツは“具材より温度設計”

番組の料理は、豪華さより“再現しやすさ”が魅力。

玉ねぎ生姜ちゃんこ鍋も、方向性さえ押さえれば家庭で十分に寄せられます。

鶏団子や鶏ももをベースにして、玉ねぎは遠慮なくたっぷり、生姜はすりおろしと千切りのWづかいが気分。

味付けは濃くしすぎず、最後に生姜で輪郭を整えると“美幸っぽい”。

ポイントは具材の正解探しより、湯気と香りで体温を上げる“温度設計”だと思います。

私は寒い夜にこれをやったら、秋冬編の余韻ごと胃袋に入れられる気がして、すでに鍋欲が暴走しています。

 

まとめ

『晩酌の流儀4』秋冬編・第10話は、商店街再開発という社会寄りのテーマを持ちながら、最後まで“晩酌の哲学”をぶらさずに走り切った最終回でした。

雪谷一番商店街の取り壊しと「雪谷江戸タウン」計画を前に、美幸は交渉、署名、そして“ある作戦”へと段取りを積み上げていく。

ここにシリーズらしい手触りがあります。

そして何より、栗山千明の“静かな闘志”が完成形に到達した感じがしたのが大きい。

叫ばないのに折れない。

笑顔を崩さないのに決して諦めない。

この人物像があるからこそ、最終回の鍋がただ美味しそうなだけで終わらず、物語の答えとして機能していました。

玉ねぎの甘みと生姜のキレを抱えたちゃんこ鍋は、暮らしの優しさと決断の強さを同時に映す“締めの一杯”。

派手な花火じゃなく、湯気で心を温めて終わる最終回って、やっぱりこのドラマならではです。

秋冬編を見届けたあとに「よし、今夜は自分の生活も少し整えてから飲もう」と思えた人、きっと多いんじゃないでしょうか。

私もその一人です。

 

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